2011年06月30日

Yes/"Fly From Here"

フライ・フロム・ヒア【限定盤 SHM-CD+DVD】
30年振り、"Drama" Yesの最新作がリリース!!実際は"Magnification"以来10年振りのYes新作であるが、今回の人事を見ると"Drama"の再来を期待するしかないもの。

バンドの35周年を所謂黄金期のメンバー(ジョン・アンダーソン、クリス・スクワイア、スティーヴ・ハウ、アラン・ホワイト、リック・ウェイクマンの基本形)で迎えた彼らであったが、ジョンとリックの不調などを機に各自ソロでプロジェクトを動かすなど実質休止状態に入っていた。リックは息子であるオリヴァー・ウェイクマンをバンドに紹介・加入させる。一方ボーカルの穴はクリスが見つけて来たというベノワ・デイヴィッドを加入させ、まずはライヴで共にステージに立たせた。'10年の暮れにバンドは新作アルバムの製作を発表。何故かそこにはオリヴァーの姿は無く、近年スティーヴと共にAsiaを再興させた元メンバーでもあるジェフ・ダウンズの姿があった。極めつけとして、プロデュースはトレヴァー・ホーン。あの日、2代目フロントマンとしてジェフと共に加入、"90125"ではプロデューサーとして成功した彼である。

ベノワはカナダ人という事で、歴代メンバーの出身国としては実に6カ国目か。

メンバーの出入りに一喜一憂はするものの、よく調教されたYesファンは例えキーボーディストが世襲されても動じなかった、はず。そこにひとときの夢(悪夢?)であったはずの"Drama"ラインナップが揃ったのだから、流石のファンも口が開きっぱか、思わず吹き出してしまったに違いない。


さて、自分は"Drama"が大好きだ。Yes作品からベスト5を選ぶとしたら、悩んだ挙句入れてしまうかもしれないくらい。ウィットに富むシンセやエフェクト類、ドライブ感が高みへ至るギター&リズム隊。次代のPOPデュオを取り込んだ結果、意外にもYesのヘヴィネスな面を露出させた事も評価が高い。

聴き始める前に前作"Magnification"を思い出しておくと、まずキーボードの椅子は不在。オーケストラを帯同した本格的シンフォニック・ロックとの触れ込みでファンを不安にさせたが、やはり賛否の分かれる作品だった。'80年代の頃を思い出すPOPな曲も演っていたり、'00年代Yes唯一のスタジオ作品としては肯定できるもの。その後リックが復帰した後にも、来日を含むライヴで"Magnification"からの曲を演奏している。

そういえば、前作プロデュースにクレジットされているTim Weidnerはトレヴァーの手のものだった!引き継ぎはばっちりのようだね……


"Fly From Here"組曲"Overture"
何処かで聴いた気もするテーマ、のっけからクリスらしいベースの音に安心する。


"Pt I - We Can Fly"
でベノワ参戦。これが新世代フロントマンだ!

お、おう。儚げな声質がYesらしいんでは?フィルター通した感じは正直違和感を覚えざるを得ないが、コーラスが入るとかなり強力なYesミュージックに昇華される。


"Pt II - Sad Night At The Airfield"

ここから30年越しの新展開へ移る。夜のイメージに始まり、沁みるようにじわり展開は実にドラマティック。曲の音域的にベノワはかなり素っぽいので、ここが勝負の仕所。主に聴衆が慣れるかどうかの。

"Pt III - Madman At The Screens"
ハードになり緊張。合いの手コーラスがかなりバグルスしている。ボーカルラインの抑揚が控え目なのが惜しい。

"Pt IV - Bumpy Ride"は楽しいインスト主体。トレヴァーは好きじゃなかったと言ってた(後述のDVD参照)"Tormato"の音に近いね。

"Pt V - Reprise"
短いながらテーマが濃縮されたこの大団円パートを聴くと、これYesじゃん!と結論づける正に回答編。

今回の"Pt I"にあたる当時の素材を拡張、表舞台へ引っ張り出したものがこの組曲。
聴き心地は何となくMike Oldfieldのトレヴァープロデュース("Tubller Bells II")なんか思い出した。

"The Man You Always Wanted Me To Be"はクリスがリード・ボーカル。しかし前作の曲("Can You Imagine")ほどクリスを特徴付ける歌声では無く。もはやYes分は微かだが、スティーブのギターにはハッとさせられる。

"Life On A Film"
The Buggles時代の素材を料理したら、Asiaっぽくなっちゃった怪作。

"Hour Of Need"
アコースティック・ギターが表情を付ける終始穏やかでシンプルな曲。

国内アヴァロン盤にはフルレングスVer.がボーナス収録されていて、これまたスティーヴとジェフのAsiaでのプレイが頭を過ぎる1分近いイントロが。後半でまたハードな曲調に戻りギターにスポットが当たるが、ここではむしろドラム。アランが気持ちよく叩いてくれていて、本作では隠れがちだが健在ぶりを示している。ボートラだという事が勿体ないよ。

"Solitaire"はスティーヴによる一人遊びならぬギター独奏。配置といい、彼らのアルバム作品らしさを引き出す演出としては十分過ぎる。

"Into The Storm"
この曲が一番、Yesナンバーの風格があるね。

何と7拍子のパートでは、Yesとトレヴァー・ホーンといえばコレ、オーケストラル・ヒットが効果的に使用されているジャン♪


正直ここまでシンフォニック路線に傾倒して攻めて来るとは思わなかった。"90125" Yesが顔を出すのはいつかと待っていたら、最後のオケヒットぐらいだったね。

前作は重厚な文字通りシンフォニーだったが、だいぶ冗長なきらいが合った。これを思うと本作のサイズ感は流石、通して聴きやすく疲れない。一方完全にコントロールされた楽曲達は、魅力あるメロディやProgとしての楽曲の出来で前作に及ばずといったところか。

要所でAsiaが顔を出すのはご愛嬌。そしてこの音密度なら、オリヴァー・ウェイクマンの華やかなプレイで隙間を埋めても良かったのではないか。

ベノワは、及第点。コーラス入るとクリスにうまい具合に持って行かれて、引っ込んでしまうのは仕方がないか。童顔・温厚そうな見た目は、ジョンと雰囲気が似ているかもしれない。


パッケージのエディションによって、メイキングを収録したDVDが付属。

キャリアと共にお歳を召したお姿には遥かなる南の空を眺めたくもなるが、メンバーはいたって元気。メンバーはいたって元気!みな過去を思い出しながらも、現在の自分達にも自信を見せている。さすが"Yes"。

トレヴァーが当時の事など色々語っていて、今回の音は80年代より70年代を目指したとの発言は意外だよね。


何故だろう、今のラインナップも次見る時には変化しているだろうとか勝手に思ってしまうのは。他のバンドでは体験出来ないだろうYes史は、どうやらまだ、続いて行きそうだ。
タグ:新譜 Drama Yes
posted by へいずん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | New | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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