2011年05月29日

Wobbler/"Rites at Dawn"

Rites at Dawn
ヴァルプルギスの夜に

ノルウェーのヴィンテージ・シンフォニック・バンド、Wobblerの2011年3rdアルバム。


同国のメジャー・プログ・バンドWhite WillowのメンバーであるLars Fredrik Frøislieが、ヴィンテージ・キーボードの使用に拘った音楽性を体現させているバンド。そんな彼はまだ20代だった(現在age:29)。意外!?

'09年発表の2ndは初期マテリアルの再収録に新録の小品を挟んだ内容だったため、完全新作という意味ではかなりひさしぶりとなる。(デビューは'05)そのサウンドとともにAnglagardのことが想起されたため、2作を残して……なんてのは杞憂に終わってよかった。

本作ではっきりしたが、楽曲はLarsとギターのMorten Andreas Eriksen、ベース他マルチ・プレーヤーのKristian Karl Hultgrenが持ち寄っている。

ボーカルがTony Johannsessenから、Lukas Kashaというオルタナ/ポップ系のバンドにいたAndreas Prestmoに変わっている。少なくとも昨年のOsloProg 2010から参加していたよう。Andreasの歌声はぱっと聴き前任者と同様のナイーブな歌い方だが、芯はしっかりしている。そして時たまジョン・アンダーソンに似る伸びのある歌唱も聴かせる。

また前作で正式メンバー扱いだったWhite Willow組の参加者は、唯一フルートのKetil Vestrum Einarsenがゲストで残り、スタンダードな5ピースのバンドに固まっている。


ジャケットが爽やかシンプルでグッドだよ!別働バンドであるIn Lingua Mortuaでも使っているデザイナーみたい。インナーのメンバーたちが田舎貴族みたいな出で立ち、雰囲気はあるね。ワイン片手のAndreasは、FFTの主人公ラムザの兄貴みたい。


"Lucid","Lucid Dream"のクールな情景の小インストがメインの楽曲群の前後に配され、ジャケの静謐な世界とのリンクが図られている。トラックリストのTr.3と4の間にラインを引いているのは、LPのA面B面を意識していると思われ。

"Lá Bealtaine"ベルテイン、ケルトの大サバトの一つ。北欧などではヴァルプルギスの夜に相当。)
LarsとMortenの共作。変拍子ながら歯切れの良いギター・リフが飛び出し、前作までの暗欝を振り払うような軽快さ。Gentle Giant風の構成やコーラスが特徴。終わりを惜しむように最後の最後まで更なる展開でサバトは続き、この曲に対する使命感さえ感じる。

超絶力(み)作"In Orbit"。ベースのKristianによるこの曲は、様々な鍵盤群が主体となる大シンフォニック楽曲。オルガンやMoogが衛星のように遠巻きにくるくる回り、曲の中腹ではARPによるトニー・バンクスが降臨。そしてデイヴ・シンクレアなオルガン・ソロ〜狩ヘ行こうのノリでハードなCaravan。オマージュをたっぷり、めまぐるしくてわけがわからないよ。彼らのオービット(軌道)をなぞり、果ては次へと向かうような歌で結ぶ。

"This Past Presence"
はじまりこそ各楽器が叙情的なやり取りを繰り返すが、クラシカルなピアノが激情を呼ぶ。伊のFesta Mobileの如し。メロトロン・パートが非常にメロウで、最終部はAnekdotenモード。

"A Faerie's Play"
前曲と共にLars作。本作で見られる要素がバランス良く5分間に取り込まれた佳曲。

KristianとMortenの共作、"The River"。サックスが鮮烈なアクセントとなっているイントロダクション、変幻の限りを尽くす前半部。半ばで一旦展開を切り室内楽風に、バスーンの音にハモンドがユニゾンしてゆき回帰。何が一番レトロ感を演出してるって、歌メロが。逆に古くさいってことかもしれないが、狙い通りか。


マニアックな存在から王道路線へシフトして来た。いや、やってる事は充分にマニアックで通好みだが。

前作までに有ったであろうオリジナリティー不足の評価も蹴り飛ばすかのような快作。回顧しながらも成熟へ向かう、まだまだ先が楽しみなバンドだと決定づけられたね。
posted by へいずん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | New | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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