2011年04月30日

Pendragon/"Passion"

Passion
Passion from Pure.

Pendragon前作"Pure"で打ち出したモダン&ヘヴィ路線を推し進めたNew Album、"Passion"。スタジオ・アルバムとしては9作目にあたる。

予感はしていたが、ラップの歌い口も取り入れるなど、まだまだ貪欲な姿勢のニック。

メロディアス・ロックには変わりないのだが、今までさんざんカテゴライズされてきたシンフォニック・ロックの枠は完全に逸した存在に。

Passionというと受難の方もあるが、PureからのPassionという内面的な意味付けと思われる。

ジャケットはPink Floydの『対』みたいだけど、インナー裏のヴァリエーションはかなりディープですよっと。

メンバーのポートレートも生々しい仕上がり、現在のバンドのリアルな感情が感じられる。


アルバムの中腹に配されている"This Green And Pleasant Land"が楽曲の中心となっている。長大なテーマ(サビ部)を挟む導入のメロと終わりのインスト部というトライアングル構成が、崩しようのないバランス。

序盤のメランコリック且つ不穏な歌が閉塞感を持ち込みつつも、いつもながらのギターのメロディに解放される。テーマの爽快感はまさに彼らの作風で、たとえファンタジー色抜きでも同等の高まりを演出する、アルバムのハイライトに挙げていい。そしてスコットのドラミングが非常にスリリングなインストゥルメンタルへ。クライブのシンセも前作から顕著なダークなバッキングの中、一瞬だけ従来フレーズを小出しにしてみたり心憎い。最後には遊び(?)も効かせてシュールだけど不思議な魅力も。

タイトルは聖歌「エルサレム」(Jerusalem)に見られる言い回し(In Englands green and pleasant Land)だが。British Gas社を名指ししたり、問題提起の曲のようだ。


前作はザラっとドライな触感の音だったが、より暗さ湿り気が加わった。
クリアーさには欠けるが、音が厚い層を造るプロダクション。


冒頭曲にしてアルバム・テーマを背負う"Passion"
処理されたボーカル群で進行、短い中にも転換は矢継ぎ早に訪れる。"Pure"の1曲目"Indigo"では方向の提示をじわり浸透させていたところ、眼前に叩き付けるように"Passion"の音を披露する。

OPはノイジーなギターのループから波状に表情を変化させてゆく"Empathy"。前曲テーマのリプライズ、曲名にあるように感情移入を促し軽いカタルシスを生む。後半はニックのギターが堪能できる。ギターは往年のトーンだが、ここでラップ調の詩が絡む。キーボード・オーケストレーションも入るが尖がった印象。

サウンド・エフェクトを駆使したハード・ロック"Feeding Frenzy"は新鮮な聴き味。ギターのリフが時おりジミー・ペイジみたいな感じに。ZEP風とオルタナ路線の往来が激しく楽しい曲。

"This Green And Pleasant Land"を挟んでの"It's Just A Matter Of Not Getting Caught"は、ほぼ全編にわたりギターがかきならされていて、終始アンニュイな風景。進行上、一服の清涼剤になっている。

"Skara Brae"(スカラ・ブレイ)は世界遺産でもある遺跡だが、サウンドは極めてハード。変拍子を絡めてヘヴィにうねる、"Eraserhead"系統の曲。シンセ・ソロはインダストリアルなパターンが不協和音を構築するなど新境地。デジタルな音像のはずが不思議と懐古へ向く。"Believe"の頃はグラハム・ハンコックの名前を挙げていたニックの事、スカラ・ブレイにもスピリチュアルなものを感じちゃったのか。

終曲"Your Black Heart"
ドラム&ベース抜きでとても牧歌的、だが、半ばからシンセとニックによるピアノが"Comatos"臭を漂わせはじめる。最後の最後にこれまで姿を潜めていた泣きのギターでエンディングと相成る。



流石に"Pure"での変化ほど驚かされはしないが、路線変更後の明確な歩みは頼もしい。

個人的には前作のシンプルなサウンドの方がどちらかというと好ましいが、今作はトータル的な底上げが達成された傑作に。

前作の記事の末尾に書いた言葉を改編して書かせてもらうと、
やっぱり自分にとって最高のロック・バンドだったんだなあ。
ラベル:新譜 passion PENDRAGON
posted by へいずん at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | New | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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