2010年09月09日

痛み、救われるための苦しみ、POS(第30回)

どこかの企画を倣って、このバンドがすごい!を個人的にやったなら、毎回ランクインさせるであろうバンドがある。

Anekdotenに続き、スウェーデンより。

自分にとって常に特別であるものの一つ、Pain Of Salvation(POS)。

ザ・パーフェクト・エレメント・パート1
The Perfect Element, Part I(2000)/Pain Of Salvation

1.Used
2.In The Flesh
3.Ashes
4.Morning On Earth
5.Idioglossia
6.Her Voices
7.Dedication
8.King Of Loss
9.Reconciliation
10.Song For Innocent
11.Falling
12.The Perfect Element

13.Epilogue

Daniel Gildenlöw(vo,g)
Kristoffer Gildenlöw(b,vo)
Fredrik Hermansson(key)
Johan Hallgren(g,vo)
Johan Langell(ds,vo)



プログレ・メタルに分類されるが、これはバンドの一端であり、ハード・コア、トラッド、ポップなど擁したミスクスチャーというのがそれらしい。このカテゴリーでも固有種みたいな存在だ。

フロントマンのダニエル・ギンデロウは異彩を放つカリスマ性があり、ギン様と言われてるかは知らないが少なくとも自分は入信しようかと思える。マルチプレーヤーとしては同国のThe Flower Kingsにも一時期籍を置き、多国籍プロジェクトTransatlanticには第5のメンバーとしてライヴサポートで参加しているほど。

スキンヘッドのkeyが、技巧志向とはまた違ったアプローチ。激しさに同居するピアノなど完成度に貢献している。

各アルバムがコンセプト作の体をなしているが、テーマは重く難解な思想による。今回の"The Parfect Element"は幼児虐待を中心とした問題を扱っているが……少なくともジャケからはそんな気がするよね。美旋律と衝動の世界。


1.ヘッドバンキングも辞さないボーカルスタイルやリフこそラウド・ロックだが、
そこから一気にメロディアスなサビへ転換したり、構成こそがテクニカル。

2.冷めた感覚のフレットレスベース中間部、
変拍子に歌を絡めてくる辺りが巧い。
リリカルなピアノが最後まで叙情的な型をつくる。

3.シングル・カット曲。
デカダンを感じさせる、語りの歌曲。

4.抑揚が抑えられたオルゴール調のモチーフ。
サビの甘美なストリングスに伸び上がるコーラスで昇天。
朝の空気に射す陽光のような曲想が美しい。

5.神懸る二幕のはじまりをヘヴィな変拍子パターンで引き込む。
パーツだけでみると変態系プログレ入ってる気も。
Ashesリプライズも違和感なく挿入。
ジャケのようなセピア色のシーンが浮かんでは消える様。
効果的なストリングスも入るけど、
音密度の高いバンドアンサンブルに抑え込まれる様には圧倒されるのみ。

6.前曲と併せて作中のハイライト。
2、4曲目のような場景にはじまるが、ディストーションで暗がりに寄せていく。
中東旋律パーカッションからプログレ心のあるセクションとなり、
同時にトラディショナルでもある。
ピアノとベースのやり取り、
シンフォニック・メタル風のコーラスなど細かいところもうまく組み合わされている。

7.他のアルバムでもよく見られるアコースティック楽曲をブリッジとして配置。

8.そしてPOSの到達点の一つ。
ピアノのフレーズを挟む形で左右のギターが囁く様なノイズで掛け合う。
音響的な音の扱い方が特筆で、"mother"の輪唱は鳥肌もの。
リズム・キープにとどまらないシンバル・ワークにも注目。
終盤再び歌の重なりが支配し頂点を迎える、クライム感は完璧だ。
見た目の厳つさとの印象の差はどうだ、
間延びした印象もある曲なんだけど、丁寧な作り込みとも言える。

9.最終パートを迎え、緊迫のスピード・チューンで加速。
リフやメロディは初期の楽曲に近い。

10~11.そのままイノセントな歌。
ピアノによるリプライズとクリアーなギター・ソロが3分間をここまで盛り上げる。
続くギターのモノローグは、Dream TheaterのJohn Petrucciのフレージングセンスと重なる。

12.最終曲は、完全な美旋律と衝動の世界。
ポリリズムを絡めたインタープレイから、まるで壁のようなウィスパーに息をのむ。
日本語が乗せられそうな白玉基調のメロディがじわり琴線に触れる。
このバンドは作品のエンディングへの流れがうまい。
続く終わる如何に係わらず、次へと向かうような含みを持たせる。
そして実際本作は、パート2への期待を抱かせてフェードアウト。

なぜか、ライナーをよく見ると歌詞のバックには俳句がプリントされている。
「稲妻に さとらぬ人の 貴さよ 芭蕉」
確かにテーマに合っている、か?


POSのアルバムを時系列で聴いていくと、動揺させられる。変化だが進化だが特定する必要もないがとにかく、同じといえるものを作ろうとしないから。

Dream Theater系のProg Metalと言われた1st"Entropia"は、割とバラエティに富んだ中にメロディの質を押さえた仕上がりで、その才はすでに萌芽。2nd"One Hour By The Concrete Lake"はよりコンセプトを前に出し、テクニカル面で早くも頂点を迎える。3rd(本作)で独自の完成へと順調なシフト、より陰陽をそれぞれ深めた4th"Remedy Lane"は間口の広さも見せた傑作に。

5th"Be"
で考え過ぎの極致を迎え、極映像的なトータル作を生み出す。6th"Scarsick"ではモダン且つ複雑さが解けたような作風、しかも"The Parfect Element Part 2"であるとのアナウンスで、更なる鍛練をファンに課したのだった。

そしてメンバー再編も落ち着いた今、7th"Road Salt One"をリリース。音は過去へ向き、自らの音楽史も飛び越えたレトロ指向として見せた。


まるで踏み絵、過去作とて踏み越えて行かなければ置いていかれてしまうような。またそれ故かコアなファンが付いている彼ら。独自の道に、プログレッシヴな感覚を見出すのは容易い。
posted by へいずん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Overture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/185925980

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。