2010年06月06日

夏の夜の真フォ、イーニッド(第29回)

この音を聴くと、軽々しくシンフォニックという言葉を使えなくなる。
そんな無二のバンドがある。今回は大英帝国の誇るコミュニティ、The Enid

In the Region of the Summer Stars
In The Region Of The Summer Stars(1976)/The Enid

1.The Fool...
2. ...The Falling Tower
3.Death, The Reaper
4.The Lovers
5.The Devil
6.The Sun
7.The Last Judgemet
8.In The Region Of The Sumer Stars

Robert John Godfrey (key)
Stephen Stewart (g)
Francis Lickerish (g)
Glen Tollet (b,key)
Robbie Dobson (ds,per)
Dave Hancock (tr)


まず音を聴いてみよう。なにやら(ロック側からすると)本格的なオーケストラ・サウンドも聴かれ、凡百のシンフォニック・ロックと比べるべきかの考えにまで到達してしまう。これが真フォニックか!…って言いたいだけだな!

ジ・エニド(発音上だとイーニッド)の音楽はクラシックを通った作曲を、ロック・バンド編成で演奏するもの。ツイン・ギターがリードするロック・アンサンブルにオーケストレーションが重なる。管弦楽器を再現しているのは基本すべてシンセサイザーで、ツイン・キーボード(時期・楽曲によりトリプル以上!)がそれら演奏を担う。オーケストラと共演!とはわけが違う、すべて彼らがコントロールする。

プログレッシヴ・ロックのフィールドで語るのは至極正当であるが、その上でもこの音楽に縛りを与えることは適わない。またパンクの時代にその音楽性を進めてきたバンドは、ある種異端な存在でもある。人を選ぶが、受け入れてしまえば幸せなエニド・ライフが待っている、かもしれない??


主宰であるRobert John Godfreyは、Barclay James Harvest初期作でサポートしていたオーケストラで指揮をしていた。いかにも音楽家といった風貌がロッカーとしてはエキセントリックな印象だったが、現在はさらに大先生な貫録に。彼のソロ作"Fall Of Hyperion"でボーカルも含めクラシック的なものを、ポピュラー音楽の範疇で再現した作品を披露。
その延長線、また完成系として結成されたエニドは76年に第一作を発表した。

タロットの大アルカナを取り上げた幻想的なテーマを持つアルバム。荒っぽさとの同居が統一感を食っているものの、ロックとしてもしっかり聴ける点、わかりやすくて良い。

さてこのエニドの初期作(1st、2nd)は音源の問題がつきまとう。現在CDで聴くことが出来るのは再録、オリジナルを知る人らはその差に嘆く。確かに異なる、しかしとりあえずエニドを聴き始めるにはめんどうで余計な話だ。基の楽曲の良さに変わりはないのだから。と主張もしつつ、今回視聴はオリジナル版で。理由は文末に…


1~2.ピアノのプロローグである『愚者』から、ロッキンな『塔』。
バンジョーの様な奏法、ユニークなステレオ感のツイン・ギターなど、ギターのバラエティに富んだ音がおもしろい。
音の重ね方はなるほど推敲されたつくりを見せる。

3.続く凶札『死神』。
次回作の交響曲Fandと共通のテーマも流れ、油断出来ないね。

4.ロマン派のピアノを地で行く。
シンセの管弦音もぬくもりある演出も。
エニド音楽の美しさをすでに覗かせる。

5.オルガンもファズってひたすら破壊(きれいなイメージを)
ロック寄りの曲はあえてガチャガチャ演ってるふしがある。
各種フレーズなどダサいプログレの典型、だが後期に薄れるこんなエキセントリックなパートもエニドの必須項目だ。

6.ジャケ絵の世界に響き渡るようなソロのトランペットが印象的。
どうもイージー・リスニング然としてるけど。
こういうやさしい素直な演奏も、エニド史ではたびたび聴かれる。

7.本格的なスコアで重厚なボレロを展開。
リプライズも含め、終曲への盛り上がりは貫録のある交響楽アンサンブル。
ライヴでの再現性もビビります。

8.遺憾無く発揮されるギター・オリエンテッド・シンフォニー。
フルート、ピアノのメロディ・ラインのバックで、ふくらみのあるギターが咽び立ち昇る。
アコースティックもエレクトリックも割り振られた各楽器が細かな描写を形づくり、バッキングのオルガン一つとっても細かい質感を持っている。

CD版でAdieuと題されたエンディング・パートも明け方、引く潮を思わせる美しさ。
さらに再々録Ver.があって聴く人によってはやかましいかもしれないが、音響に立体感があって悪くないかも。


ちなみに同じく各曲でタロットを扱っているというと、Steve Hackettの1stソロ。"Voyage Of The Acolyte"('75)は本作の企画が持ち込まれたものとの話もある。(エニド不遇の第1章)

真偽はともかく、どちらも時代の重要盤であるところがすごい。


2010年、歴史的なエニド年を迎える。以前からアナウンスしていた十数年振りの新作"Journey's End"をリリース!

そしてついに、"In the Region of the Summer Stars"、"Aerie Faerie Nonsense"のオリジナル・マスター音源でのCD再発が叶う!

やっと盤起し音源から解放か、これから聴こうという人にもうれしい再発かも!?(故に今回はオリジナルのレヴュー)若いメンバー達とNEARFESTなどにもブッキング、生ける真フォ伝説をチェックです。
posted by へいずん at 16:03| Comment(2) | TrackBack(0) | Overture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

真のシンフォニックで真フォニックですか?
確かに真フォニックですね。
素晴らしい表現です。
Posted by ヘルニアン at 2010年06月24日 03:16
>ヘルニアンさん
はじめまして。

はい、正に真のシンフォニックです!!
エニドの音を表現したくて思いつきました。
うれしいコメント、ありがとうございます!
Posted by へいずん@管理人 at 2010年06月26日 01:02
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